予防医療の普及
日本は、税収の約60%が医療費に充当されており、この状態が継続すると財政がパンクする可能性がある。従って、疾患の早期発見や予防医療を強化し、医療費をできる限り削減することが重要になる。
しかし、予防医療を普及させることは難しい。その理由は、健康な人達は自分が病気になると思っていないため、「病気になりたくなければ○○をやりなさい」と指導されても、納得できないのである。当然、自分の負担になることは避けたいと考えるのが普通である。
でも、サウナのように、「ついやりたくなること/気持ちいいから/好きだからやること」を実践して、その結果として健康になれたら一石二鳥である。サウナという「ライフスタイル」の普及を通じ、より多くの人の疾患予防に貢献できれば良いと考えられる。
サウナの健康効果
注目すべきことが、サウナの健康効果だ。この点については、フィンランドの研究から効果的なエビデンスが出ている。サウナに入る習慣がある人ほど、以下の3つの効果があると確認されている。
1.認知症のリスクが60%以上減少
2.心筋梗塞のリスクが50%減少
3.精神科疾患のリスクが78%減少
認知症:サウナに毎日入浴⇒脳の老廃物が激減
サウナに毎日入る人は、週1回以下しかサウナに入らない人より、軽度の認知障害になるリスクが66%も低い、とのデータがある。認知症のリスクが減る理由は、睡眠の質が向上するからである。逆に、睡眠不足や睡眠の質の低下により、認知症になるリスクが高まる。
そもそも認知症は、高齢化で脳に少しずつ溜まった老廃物が一定量を超えることにより、脳細胞が死んで機能しなくなってしまう病気である。つまり、老廃物の蓄積が問題なのだが、ノンレム睡眠(深い睡眠)時にこの老廃物が洗い流されることが報告されている。
そして、サウナに入るだけで、ノンレム睡眠の時間が約1.5~2倍も長くなると言われている。ノンレム睡眠の時間が伸びれば、より多くの老廃物が排出されることになるので、認知症予防になる。
ちなみに、就寝のタイミングは、サウナに入ってから2時間後がベストだ。これは、その時間帯に深部体温が通常時よりも下降するため、休息の効果が最大限発揮されるからだ。
心筋梗塞:血管が柔らかくなると、心臓の負担低下
なぜ心筋梗塞のリスクが低下するのか❓
サウナに入ると、血管が柔らかくなるからだ。血管が柔らかくなれば、血液を体全体に運びやすくなるため、心臓の負担が減って心筋梗塞のリスクが低下するのだ。
逆に、血管が硬くなると血液運搬の機能が低下するので、その分心臓自体の筋肉を多く使って血液を体全体に送る必要になる。この時、心筋にも血液が大量に必要となるが、心臓に血液を送り出す血管自体も硬くなっているので、供給量が限られてしまう。その結果、心臓が血液不足になり心臓が死んでしまう。これが「心筋梗塞」の仕組みである。血管を柔らかく保つことの大切さが、よく分かる。
また、高血圧や心不全の方でも、主治医と相談しながら負荷をきちんとコントロールしてサウナに入れば、心疾患のリスクの減少や心機能が上昇との結果が出ている。大事なことは、「症状があるからサウナは入れない」と諦めるのではなく、適切な負荷の範囲内でサウナをうまく活用することである。
精神科疾患:サウナ効果でマインドフルネス状態に
サウナに入る人は、精神科疾患になりづらいとの報告もある。これは、デフォルトモード・ネットワーク(DMN)と呼ばれる、ぼんやりと雑念にふけったり、自己反省したりしているときに活動する脳の領域と関係がある。このDMNは、脳のエネルギーを大量に消費する。そのため、DMNが過剰に活動すると、物事をクヨクヨ考えることにエネルギーを費やされ、いざ活動しようと思ったときにエネルギーが枯渇してしまう。そうすると、実際に体が動かなくなったり、うつ病になってやる気がなくなったりする。DMNは「疲労感」や「うつ状態」と相関関係にあるのだ。
それに対して、何かに集中する時に作動する、セントラルエグゼクティブ・ネットワーク(CEN)という脳領域は、エネルギー効率が非常に良い。時間を忘れて何かに没頭するという経験は誰にもあると思う。それはCENが活動していて、脳が疲れにくいからなのだ。もしDMNが活動している状態で何か作業をしようとしても、すぐに脳が疲れてしまうので長続きしない。従って、いかにDMNの活動を抑えられるかが、脳疲労、ひいては精神疾患の予防で大事になるのだ。
そこで役立つのが、サウナである。サウナ室は外部から情報が遮断されているので、ほかのことに意識が向きづらい。更に、温度が高いことで皮膚表面に血液が集中し、脳血流が下がる。その結果、思考そのものがしづらくなる。
通常の生活の中で、DMNを抑制する「マインドフルネス(*)状態」に入るには、ある程度テクニックが必要とされるが、サウナであれば「ただ入るだけ」でマインドフルネス状態になれるのだ。
サウナの健康効果はきちんと実証されているので、生活の一部に取り組むことをお勧めする。
*:私達は、今この瞬間を生きているようでいて、実は過去や未来のことを考えて、「心ここにあらず」の状態が多くの時間を占めている。特に、過去の失敗や未来の不安といったネガティブなことほど、考えを占める時間が長くなりがちである。つまり、自分で不安やストレスを増幅させてしまっているのだ。このように心ここにあらずの状態から抜けだし、心を「今」に向けた状態を「マインドフルネス」と呼ぶ。
🟤参考動画
「サウナ」にこのようなメリットがあることは、知らなかった。「サウナ」はジムに通っていた時利用したことはあったが、前述のようなメリットを意識したことはなかった。
今は毎日のウォーイングに注力しており、「サウナ」のメリットは理解できたが直ぐにトライすることは考えていない。
ただ少し調べてみると、自宅での「サウナ」実現も不可能ではないことが分かった。例えば『究極の「おうちサウナ」に成功してしまった話(下記)』も参考になるかもしれない。
しかし、私が本当にやるなら「おうちDEサウナ(下記)」を選択するように思う💦
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