Madenokoujiのブログ

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吉野家の廃棄玉ねぎ、かくれフードロス削減🧅

廃棄の玉ねぎを、「たまねぎパウダー」へ

吉野家のセントラルキッチンでは、1日に最大約700kg、年間では250t以上の「玉ねぎの端材」の処理に悩んでいた。

キャベツや白菜の端材は動物用の飼料として寄付されていた。しかし、玉ねぎには動物が中毒症状を起こす成分が含まれており、また抗菌性が高く堆肥化にも時間と費用がかかる。従って、同じような処理が難しい。結果として、全て廃棄する費用が年間で数百万円に。

この課題解決のために、ASTRA FOOD PLANに相談をした。ASTRA FOOD PLANは過熱水蒸気技術を用いた食品乾燥機「過熱蒸煎機」を開発する企業だ。同社の過熱蒸煎機は、わずか5〜10秒程度で食品の乾燥と殺菌を同時に行う事ができる。従来の乾燥技術に比べてエネルギー効率が高く、食材の風味の劣化や酸化、栄養価の減少を抑えられる。

ASTRA FOOD PLAN代表取締役の加納千裕氏によると、同社と吉野家では2022年の2月から実証実験をスタートし、玉ねぎの端材を高品質な「たまねぎパウダー」に変える取り組みを続けてきた。粉末化した玉ねぎは香りの良さが特徴で、甘みやうまみもある。そこで生まれたのが「パンの生地に練り込んで使う」という発想だ。

ベーカリーチェーンのポンパドウルがこの「たまねぎパウダー」を採用し、オニオンブレッドの原料として有効活用されることになった。オニオンスープのような香ばしい香りが特徴である。

 

父の約20年間の研究を受け継ぎ起業

ASTRA FOOD PLANは3年前に創業された企業だ。同社のコアである過熱水蒸気技術は、加納氏の父・加納勉氏が約20年間研究してきたのだ。過熱水蒸気を調理に用いれば、食品の劣化が抑えられる。

勉氏は約20年にわたって、過熱水蒸気技術を軸とした事業をいくつも模索したが、ビジネスとしてはなかなか大きな成果に繋がらなかった。

 

良い装置が導入されない

父親の代では過熱水蒸気技術を用いたオーブンの開発や販売などに取り組んでいたが、加納氏が創業したASTRA FOOD PLANではこの技術を乾燥機に応用した。

業務提携を結んでいた機械メーカーと協力し、「そのメーカーが保有している乾燥機に過熱水蒸気技術を組み込む」方法で試作品を製作し、良好な結果を得た。

しかし、装置が完成し製造ノウハウに目処がたっても、思うようには導入が進まない。食品メーカーなどからは、「(製造した粉末の)売り先があれば、ぜひ導入したい」と言われることがほとんどだった。結局のところ、良い装置を作っても(粉末の)出口がなければ導入してもらうことはできない。装置を販売するだけでは事業として難しいと考え、現在のビジネスモデルへと移行を進めた。

 

食品メーカーの数だけ、かくれフードロスは存在する

現在ASTRA FOOD PLANの過熱蒸煎機は、しいたけを生産する事業者やオリーブを栽培する農法生産法人など3社で導入されている。事業としてはまだまだ立ち上がったばかりではあるが、「毎日のように問い合わせがあり、ラボもほぼ毎日稼働して常に何らかの食品のテストをしている」との状況である。

製造した粉末の用途は食品の原料を中心に考えていたが、新たな用途も見えてきている。例えばお茶やコーヒーのかすといった飲料ざんさは、1日で数十t単位の量が発生することも珍しくない。必ずしも美味しいわけではないが、その消臭効果を活かせば消臭剤などに使える可能性がある。大量に安く粉末化すれば、食品以外の用途も見込めるわけだ。

漬物工場で大量に発生していた白菜の端材から生まれた「白菜パウダー」は、食品の原料としての使い道がなかなか見つからなかったが、他の話の中で「建材」として活用できる可能性が見えてきている。

今後ASTRA FOOD PLANは、埼玉県などで自治体や地域の生産者、教育機関などと連携した実証実験も進めている。食品メーカーの数だけ、かくれフードロスが存在している。過熱蒸煎機の社会実装を進めていくことで、かくれフードロスを少しでもゼロに近づけていくことを目指している。

 

私見

一般的に知られるフードロスは、製品になったあとの売れ残りや食べ残しなどが含まれる。日本では年間約600万t発生し、課題視されている。かくれフードロスはフードロスの定義には含まれず、その量は年間約2000万t以上でフードロスの約4倍あると言われている。

かくれフードロスは野菜をした処理したときの破材、規格外野菜、ワインなどの搾りかすなど様々な品を指す。現状は2000万tと言われるが、これらは追跡できている数字である。生産調整や規格外品など、畑で腐らせてしまう物を考慮すると、もっと大きな数字が捨てられているのが実情と考えられる。

前述のようにかくれフードロスは、現在把握できている以上に莫大であると推測される。しかし、この事は逆の視点から予想すると、吉野家の例のような新ビジネスのネタの宝庫とも言える。多くの技術をパズルのように色々と組み合わせる事によって、新たなビジネスのアイデアに結実し、起業などに繋がらないだろうか❓

 

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