■「緑色のランプ」の正体は🟢
私は見た事ないが、高速道路を走行していると、壁面を流れるように光る「緑色のランプ」を見かける場所があるようだ。これは、壁面に等間隔に設置されたランプがタイミングを合わせて点滅する事で進行方向に向かって流れるように見える設備なのだが、一体どういった意図で、そしてどのような場所に設置されているのか❓
NEXCO東日本に確認すると、この設備の正式名称は「ペースメーカーライト」との事。
路肩や中央分離帯に設置したLED発光パネルが、車両の進行方向に流れるように点滅する事で、ドライバーの運転をアシストする事を目的に導入されているのだ。
ペースメーカーライトは、走行スピードの目安となる速度で点滅しており、ドライバーはライトの流れる速度に合わせて走行する事で適切な車間距離や走行スピードを保つ事ができ、渋滞を起きにくくさせる効果があるようだ。
では、どうしてペースメーカーライトは高速道路でも特定の場所にのみ設置されているのか❓
このライトが設置されている場所は、主に渋滞の先頭になりやすい「ボトルネック」と呼ばれる箇所になるようだ。渋滞は、事故車や故障車などによってクルマの流れが阻害される事で発生するものだと一般的に思われているが、実はその多くはこのような目に見える原因がない場所でも発生している。それが「サグ部」と呼ばれる、下り坂から上り坂にさしかかるポイントだ。下り坂から続く上り坂では、ドライバーが意識的にアクセルを多めに踏まなければ、気付かないうちに緩やかにスピードが低下し、次々に後続を走るクルマとの車間距離が詰まってしまう。これが何台も連続すると車間距離がどんどん近づいてしまうため、後続のクルマがブレーキを踏む事になり、更に後方のクルマはスピードが完全に落ちきってしまい完全に停止してしまうなど、最終的に渋滞に発展してしまうのだ。
また、無意識下のスピード低下による交通渋滞は、サグ部のほかにトンネルの入り口でも発生しやすくなっている。トンネルへの進入直後は明るさの変化や圧迫感により、無意識にアクセルを緩めたりブレーキを踏んでしまう事が多く、それを原因として走行するクルマのスピードが低下してしまうのだ。このような僅かなスピードの低下が後続のクルマに次々と影響していった結果、交通量の多い道路では渋滞に発展してしまうのだ😐
■交通集中による渋滞をどのように防ぐ
NEXCO西日本によれば、交通集中による渋滞原因はサグ部が約58%、トンネル入り口が約20%との事。
これらの交通集中による渋滞を回避するためには、ボトルネックとなる「下り坂から続く上り坂」や「トンネル入り口」で適切にアクセルを踏み込む、または不要なブレーキを踏まないなど、走行スピードを一定に保つ事が必要になる。そのため、ペースメーカーライトはこういった無意識のスピード低下が原因の渋滞が起こりやすい場所に設置されており、ライトのある場所ではドライバーがライトの流れるタイミングに自動車のスピードを合わせる事で、混雑や渋滞を回避する事が可能になるのだ。
また、ペースメーカーライトの他にも、NEXCO中日本では同様の目的を持つ「ドライブ・アシスト・ライト」という設備も運用されている。このドライブ・アシスト・ライトは混雑時と渋滞発生時とでは光り方に違いがあり、クルマがスムーズに流れている時には点灯せず、混雑し始めた場所や渋滞の先頭となる場所でのみ状況に応じて高速~低速で光が流れるのだ。更に、渋滞の末尾となる場所ではライトが点滅して、追突防止の注意喚起も行なう。
このように、壁面を流れる緑色のランプは、渋滞が発生しやすい場所に設置する事でクルマの流れをスムーズにする働きを持つ設備でした。ペースメーカーライトが設置された場所では、前述のようにドライバーが意図せずともスピード低下によって渋滞が発生しやすいため、流れる光を目安に走行し、スピードが落ちないよう意識して運転することが大切だ🚗
■追記
・「NEXCO西日本の先進技術の紹介(ペースメーカーライト動画等)」