「AI」が人類を超える日は早まっている
「AI」研究の世界的権威であるレイ・カールワイツ博士は、2045年に「AI」が人類の知能と並ぶ、または超えるだろうと予想した。しかし、Chat GPTの登場など近年の動きは、この見方よりも早く到達しそうである。「AI」の進歩のスピードが速まっていることは、おそらく間違いない。
最近「AI」に関しては、実際に企業で行われている取り組みや、それにより組織・人事・採用がどう変わるかとの内容へシフトしてきている。今後の社会にどんなインパクトをもたらすか、強い不安を感じる。より深刻に捉えているのは、30代,40代を中心とした、いわゆる社会の中堅の方達だと思われる。
今後10年、或いはもっと短い期間で社会が大きく変わると予測し、行く末をより現実的に考えるなら、これからの自身の「食い扶持」をどうすればいいのかを気にしない訳にはいかないのだろう。
10年後も生き残る仕事、なくなる仕事の境界線
実際に10年後の社会では、どんな仕事がなくなり、どんな仕事が生き残るのか❓
そして、どんな仕事が新しく生まれてくるのか❓
一言で結論を述べる。
🔵『仕事は「意思決定」と「作業」に分解され、このうち「作業」に関しては、殆ど「AI」に取って代わられる』
別の表現をする。
🔵『「自分で何をするか決める仕事」は残り、「人から言われてやる仕事」は「AI」に取って代わられる』
今の自分自身の仕事と、身の回りの人達の職業と照らし合わせてみる。同じような業界、領域でも、「自分で決めている人」もいれば「人から言われて動く人」もいる。意外にも、現時点での収入や社会的地位とは相関していない場合もある。
最も影響を受けると考えられるのは、今までは「高度な知的作業」とされてきた、何等かのアウトプットをするポジションである。
例えば、
・質問に答える
・指示に従って分かり易い資料を作る
・内容を要約する
・前例を調べる
このような作業は、飛躍的に効率化、あるいは「省人化」されると予想する。
また、「AI」の時代になりつつある今、プログラマーやシステムエンジニアのような職業が、今後も安定して継続できるかについては、非常に疑問を感じる。プログラムを書くという作業は「AI」に最適で、現状でも有料版のChatGPT-4で相当部分は代替え可能なのだ。従って、ひと月たったの20ドル(約3,000円)で使える「AI」を大きく上回る仕事が、毎月何千ドルもの給料を入手してできることを証明しなければならない。
同じことがオフィスでデスクワークを中心とする仕事をする人、いわゆるホワイトカラーの現場でも続出すると思われる。そのなかには、社会的地位が高いと言われてきた医師や弁護士なども含まれるのである。
「AI」に出来ないことは何か❓
そんな近い将来において、人は何をすればいいのか❓
答えを述べれば、「AI」にはクリエイティブなことができない。より正確に表現すると、意思をもって「何をクリエイティブすべきか」を決めることが不可能である。
膨大なデータを学習した「AI」は、ある指標の後にどんな指標が続くのかを解くことに関しては、人間の能力を凌駕する。
文章で言えば、「AI」はある言葉の後に続くべき言葉をピックアップし、さらに前後の関係や結論と合わせて、何をどうすればいいのか、膨大なパラメータを調整しながら最適化していくことが可能である。
しかし、「AI」に原稿用紙を渡し、「あなたの言いたいことを書いて」と依頼しても、何もできません。「AI」を搭載した絵描きロボットに白いキャンバスを渡し、「君の好きなものを何か描いて」と指示しても、やはり何も描けないのだ。一方で、「筋肉質の男性が嵐のなかで敵をやっつけている場面を描いて」などと具体的に指示すると、かなり要求に近いものを描けるのだ。
いずれにせよ、「AI」自体に書きたい、描きたいという欲求はなく、過去に学習した物の中から「それっぽい物」を持ってきて繋げることに長けているだけなのだ。
しかし、「AI」にも創造に近いことができるようになる可能性も十分にある。その理由は、人間が作る創造物においても、たとえばある作家がストーリーと別のストーリーを組み合わせ、さらに別のストーリーの要素を加えて「いいとこ取り」した作品に対して、新しい作風として称賛が与えられることがある。このような物まで創造と呼ぶのであれば、おそらく「AI」にも可能だと思われる。
「属人化こそ勝ち組」の時代が到来
では、どんな人であれば職を失いにくいのだろうか❓
キーワードは「属人化(特定の社員が担当している業務の詳細内容や進め方が、当人以外では分からなくなってしまう状態を指す)」である。
「その人」だから価値があると感じているものは、「AI」には入り込めない領域なのだ。
属人化している仕事は、思った以上にたくさんある。アスリートやYouTuberなどの配信者は分かり易い例であるが、その他でもとても美味しいチャーハンを作る町中華や、そこで腕を振るう親父さんの代わりは、「AI」には対応できない。
これまで善とされてきた「標準化」「マニュアル化」は「AI」が担い、悪とされてきた「属人化」のみが私達人間が生き残るための技になる。
誰もがしている「勉強」で秀でることの価値が、相対的に減っていくのだ。それは知能が自動化、機械化されれば努力の必要がなく、しかも人より高いレベルで実現できてしまうからだ。
問題は、大企業や組織力の高い会社に入ったことで、仕組の歯車のひとつとなって、属人化を排除する組織の文化や風土に慣れてしまった人が、「自分は本当は何をしたいのか❓」「なぜそれをしたいのか❓」などと悩むと思われる。このようなことを明確にして、最後は自分の意思で決められるか否かが肝と考える。
「AI」時代の到来が本当に問うていることは、「あなたならどうするか❓」ということだと思われる。それを考えるのは今がいい機会というよりも、「AI」の進歩スピードを考えると、ラストチャンスと考える。
私は今までに今後の物価高騰の予測に関し、「AI」を活用したことがある。
一例として、『今は入居費の安価な「特別養護老人ホーム」を求め、多くの人が順番を待つと聞く。今後は老人ホームも「AI」や「ロボット」を使う事は充分に予想される。しかし、役所は新しい物への対応が非常に遅いと感じている。今後は「AI」や「ロボット」を駆使した安価な「有料老人ホーム」が、「特別養護老人ホーム」を求める方々をもターゲットにするのではないかと考える。
結果として「特別養護老人ホーム」は負け組となり衰退し、安価から高価まで対応できる「有料老人ホーム」が勝ち組となり、この分野全てを手中に収めると予想する』との考えを提示しコメントを求めた。
「AI」からは、『「AI」やロボットを活用したサービスが普及するには、まだ多くの課題が存在する。それは、技術的な問題だけでなく、社会的な受け入れや法律・制度の整備、そしてコストの問題も含まれます。そのため、これらの技術の進歩とともに、社会全体での理解と受け入れ、法律や制度の整備、そして技術の普及というステップが必要となります』との回答を得た。
それに対して、『私の考えでは、技術的な問題だけでなく、社会的な受け入れや法律・制度の整備、そしてコストの内容も、人間だけではなく「AI」を活用し、短時間で解決するようでなければ、「AI」を活用している意味がないと考える』と質問を追加した。しかし、「AI」は、同様の回答を繰り返した。
そこで頭にきて、『まるで新入社員の研修をやっているようである。出来ない出来ないとの回答は誰にでもできる。「今はこのような課題がある。しかし、次のような手段によれば短時間で解決可能である。」的な回答はできないのか❓』と更に質問した。
「AI」は最終的に、『私の役割は、現在利用可能な情報と知識を基に、最善の情報とサポートを提供することです。しかし、未来の具体的な予測や確定的な結論を出すことは、私の能力を超えています』との回答で終わった。
今後ますます「AI」は進歩するはずであるが、最後の回答で「AI」が本音の一端を漏らしたと感じた🤔
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