Madenokoujiのブログ

老化防止を目的に、「”ニュース”+”私見”」或いは「暮らしの話題」を投稿します(「Google AdSense」を利用しています )

※ 当ブログはアフィリエイト広告を利用しています

健康診断の「本当の話」🏥

「老いと闘う」のか「老いを受け入れる」のか❓

どれほど医学が進歩しても、人間は不老不死を得ることだけはおそらくできない。そうである以上、しかるべきタイミングがやってきたらそのときは自分自身の老いと向き合う必要が当然ある😐

 

■知っているようで知らない健康診断の話

40代で特に気をつけるべき身体の衰えは、前頭葉の萎縮やセロトニン、性ホルモンの分泌量減少がある。しかし、人によってはこれ以外の点でも医師から肉体的な衰えを指摘され、焦ることは当然あるだろう。

特に日本の場合、使用者が労働者に健康診断を受診しなければならない世界的には珍しい労働安全衛生法の規定があり、事実上健康診断を受けなければならない。40代以降はこの健診に「ひっかかる」、つまり検査データに異常な数値が出ることが増えてくる。

ただこの健康診断に関しては、取り扱いを間違えないようにしたい。それは日本の健康診断の検査データは多くの場合、健康と考えられる人の平均をはさんで95%の範囲におさまる人を「正常」、高い方でも低い方でもはみ出した5%を「異常」と判定される。GOT(グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ=肝機能障害の兆候を知る手がかりとされる数値。現在はASTと呼ぶことが多い)が高かろうが、コレステロール値が高かろうが、それはあくまで平均プラスマイナスの標準偏差で決めているだけのものであるのだ。

数値が異常だからといって、それが明らかに病気につながるかといえば、そのようなしっかりしたエビデンスのある検査は実はない。そもそも「健康と考えられる人」なのに、その95%をはみだした値の人が「異常値」だとされているのだから。

現在、日本の健康診断では50~60項目に関する検査を行うのが一般的だが、これらのうち、エビデンスがあるものは血圧や血糖値などせいぜい5項目ぐらいだ。つまり、血圧や血糖値がものすごく高い場合などは、その時点や将来にその人の健康状態に明らかに良くない事が起こる(これも確率論なのですが)と認められるものの、それ以外の項目に関しては数値が良かろうと悪かろうとほぼ当てにならない。

特に典型的なのがコレステロール値の検査だ。健康診断でコレステロールの値が高かったせいで食生活の改善を求められた人は多いだろうが、実はコレステロール値の上昇と健康の悪化を関係づけるはっきりしたエビデンスは、少なくとも日本では存在しない。正直な事を言えば、私は健康診断については受ける価値などほとんどないと思う。

健康診断を受けた人がコレステロールや血圧の数値になぜ一喜一憂するかといえば、それらが原因となって起こると言われている動脈硬化脳梗塞心筋梗塞などの重篤な病気になることを恐れ、それらを予防したいと思っているからだ。

しかしその割に、健康診断で悪い数値が出てその後も放置していたのに心臓の血管が一向に狭くならない人もいれば、逆にまったくの正常値だったのに心筋梗塞で倒れる人もいるなど、健康診断の結果と実際の健康状態があまりリンクしていないのが日本の健康診断の実際なのだ。

それ以上に問題なのは、そのリンクを長期の大規模調査で追跡した研究が日本では殆どない事だ。疾病構造も(世界中の多くの国で死因のトップは心疾患なのだが、日本はガンで死ぬ人が急性心筋梗塞で死ぬ人の10倍以上いて、心筋梗塞で死ぬ人は世界で最低レベルだ)食生活も違う海外のデータを無理に信じ込まされているのが実情だ🤨

 

■意味があるのは脳ドックと心臓ドックだけ

ただ私は、心臓ドックと脳ドックに限っては受ける価値があると思う。その理由は心臓ドックに関して言えば、日本の心臓外科医は海外とくらべて圧倒的に医師一人当たりの手術件数が少ない(要するに手術に慣れていない)ため一般的にバイパス手術の技術が低い代わりに、内科的な血管内治療の技術がきわめて高いからだ。

内科的な血管治療というのは、カテーテルを通してバルーンを膨らませて、血管が狭く詰まりそうになっているところを広げたり、あるいはステントという器具を血管内に入れることでそこを詰まらなくする治療だ。要するに心臓ドックで、冠動脈と言われる心臓を取り巻く血管に狭窄が見られたら、そこを広げる技術が充実しているという事だ。あるいは、このドックで解離性大動脈瘤などがみつかれば、それに対する処置もある程度可能だ。

また脳ドックに関しても、多くの人は認知症予防のために受けているという認識だが、残念ながら脳ドック認知症の予防にはならない。しかし、そのかわりMRIで脳の血管がかなりきれいに撮影できるので、脳ドックを受けることである程度以上の大きさの動脈瘤を見つけることができる。動脈瘤を早期発見できれば、カテーテルを用いてその部分を固めるなど動脈瘤を破裂させないようにする予防手技が受けられる。

2018年には西城秀樹さん、大杉漣さんなどまだ60代の著名人があいついで急性心不全で亡くなったが、私は新聞でこの2人の死亡記事を読んで、少しばかりやりきれない気持ちになった。

解剖結果などが分からないが、大杉さんの場合は腹痛を訴えた約4時間後に亡くなっており、直接の死因は心筋梗塞か大動脈解離、いずれにしても心臓のどこかの血管に問題があったことが原因と考えられる。これらはいずれも、心臓ドックを受けてさえいれば発見される可能性の高い病気だ。

また西城秀樹さんのケースでは、48歳と56歳のときに2度の脳梗塞を起こしている。2度も脳梗塞を起こすのは相当に血管が詰まりやすい体質ということだから、2度目の脳梗塞を起こした時点では脳だけでなく心臓の動脈硬化が起こっている可能性も当然疑ってみるべきだった。

こうしたことの背景には、日本の医師特有の縦割り意識があったのではないかと私は疑っている。一般に、診療が「臓器別」で行われている日本の医療現場では、脳梗塞を複数回起こしても、「じゃあ、心臓も調べておきましょう」と言ってくれる親切な脳外科医はなかなかいないのだ☹️

 

■20年理論

私は、健康診断を受ける意味が仮にあるとすれば、それをもとに自分自身の「20年後」の健康状態を予測する事だと考えている。つまり、検査でコレステロール値や血圧、血糖値が高いと診断されたのならそれは動脈硬化のリスクファクター(危険因子)ということになるが、ほんとうにそれによって脳梗塞心筋梗塞になるのは殆どの場合20年後などかなり先の事だ。

従って、仮に40代で血圧や血糖値などの異常値が出始めたらその検査データを過剰に恐れるのではなく、脳梗塞心筋梗塞が「20年以内に」起こりかねないという自覚をもち、そうなる前に脳ドックや心臓ドックを受けるという心構えが大事なのだ。

こうした考え方は「20年理論」と呼ばれることがある。要するに喫煙であれ飲酒であれ、40代のうちはそのリスクが20年後にやってくるという意味で気にしましょうという事だ(従って、病気予防のために運動などを始めるなら、40代がベストなのだ)。

もっとも、20年といえば医学の研究が大幅な進歩を遂げるには充分な時間なので、ひょっとしたら20年後にはiPS細胞(人工多能性幹細胞)をフル活用した再生医療が実用化されていて、多少の動脈硬化であればiPS細胞をぱらぱらと動脈にまくことで血管が若返って治ってしまうことだってあるかもしれない。

もちろん、ほんとうにそうなるかどうかは誰にも分からない。しかし、未来における医学の進歩を信じられるのであれば、検査結果を闇雲に恐れるよりは、とりあえず先ほど述べたように心臓ドックなり脳ドックなりを受けて突然死のリスクだけは避けておき、それ以上のことに頭を悩ませることは止めておくのが精神衛生上もベターであろうと思う🤔